酒は燗、肴は刺身、酌は髱

我が身の色をお隠しでないよ、着の身着のまま、ええじゃないかえ

邦アニメオールタイムベスト10 (ぽんぬふ)

このブログをやってる2人で話して、オールタイムベストを出すことになったので書きます。といっても僕はゆう君ほどにアニメを観ていないため大したリストにはなりませんがご了承を。対象としては「アニメーション」と「アニメ」を区別した上で、日本のアニメから選ぶことにします。観てなさすぎてTVアニメだけではとても10も挙げられないので、劇場作品も入れます(というか劇場作品の方が多くなりそう)。あと、アニメにおける作家の概念はかなり曖昧ですが、なんとなく一作家一作品とします(その方が選びやすいので)。順位は一応無しで。

まずはリストを

 

・映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー

少女革命ウテナ

電脳コイル

おおかみこどもの雨と雪

傷物語 (三部作)

風立ちぬ

魔法少女まどか☆マギカ

キルラキル

映画 聲の形

 

 といった具合です。以下作品ごとのコメント。ネタバレはしないように努力しましたが無理でした。『まどマギ』はガッツリネタバレ、『キルラキル』はややバレ、あとは多分大丈夫だと思う。

 

 

・映画 プリキュアオールスターズ NewStage みらいのともだち (2012)

 

プリキュアオールスターズシリーズの4作目にして、タイトルの通りこれ以前のオールスターズからは一旦別物として再スタートしたNewStage 三部作の1作目。個人的には僕がはじめて観たプリキュアで、プリキュアを観るようになったきっかけの映画。

鉄腕アトム』以降、リミテッドアニメーションとして進化してきた日本のアニメの、いわゆるジャパニメーション的手法は既に完成したものと思いがちだが、バリバリのプログラムピクチャであるこういう映画を観ると、その技術が現在進行形でどんどん鋭くなっていることがわかるような気がする。制作期間も長くない上に、女児(とその親)をメインターゲットにするという商業的要請の中で、無駄を徹底的に省き音速のストーリー展開と高度な抽象化を達成している。

しかしそんなことよりも、僕にとってこの映画が大切なのは、何よりもその物語による。勇気を持って一歩踏み出せば誰でも“何者か”になれる、というきわめて普遍的な物語だが、そのようなテーマを扱ったフィクションでこれ以上のものを僕は知らない。ウェルメイドとは言いがたいくらいに暗さを湛えた映画で、そんな主人公のキャラクター像が完全に僕の心にブッ刺さって抜けなくなっている。暗さということで言えば楳図かずお先生の大傑作短編漫画『ねがい』を想起するほど(というかこの映画ほとんど『ねがい』なんだけどね)。そしてその彼女の、自分の中のダメなところ、弱さ、暗い衝動、不安を、受け入れ愛する強さと優しさ、その先に起きる奇跡…………(涙)

 

 

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー (1984)

 

アニメーションとは、作り手の意図せざるものの介入の余地が無いという意味で、閉じたメディアである。しかし同時に、その外側には(偶然にも)描かれなかった事柄が無数に存在することは疑いの余地がないだろう。では、閉じたメディアであるアニメーションによって、その外側への運動や思考をどう表すのか。この作品はその最良の例のひとつだ。

よく知らないけど、この話はカントとかその辺の時間論なんだと思う。つまり、絶対的な時間というものが存在する証拠はどこにも無く、ただ我々が時間が流れていると認識しているために時間というものがあるように感じられるのだ、というような。まず、文化祭前日という幸福な1日を繰り返してさえいれば、時間なんて流れなくても毎日幸せで楽しいじゃないか、という閉じた世界が提示される。その上で、確かに絶対的な時間など存在しないのかもしれないが、自らの選択の積み重ねの先にある時間だからこそ生きる意味があるし、その選択に対する責任がある、という一応の答えが示される。つまり、自分の選択を信じ、選択に対する責任を取り続けることこそが、閉じた世界から外側へとアクセスする(唯一の)手段である、というのがテーマなのだが、それはまさしくアニメーションの構造そのものである。アニメーションという閉じた世界で、一瞬ごとに作家によって行われている選択、すなわち何をどう動かすか、というチョイスそのものを、作家自身が信じ責任を持つことこそが、アニメーションによってその外部への思考を開く道である、と。押井がそのことに自覚的である証拠は、エンドロールのある仕掛けにはっきり表れている。押井はあの仕掛けによって、アニメーションの自閉性を理解した上でその先を我々観客に託したのだ。もちろん、その我々が生きる現実においても、一瞬ごとに選択が繰り返されていることは言うまでもない。

 

 

少女革命ウテナ (1997)

 

幾原は『輪るピングドラム』と悩むんだけれど、トータルデザインの素晴らしさと、映画版である『アドゥレセンス黙示録』の存在まで含めてこちらで。最初に順位はつけないと言ったが、ここまでの『みらいのともだち』『ビューティフル・ドリーマー』『アドゥレセンス黙示録』の三本は、日本アニメどころか全ての映画のオールタイムベストでも上位に入りそうなくらい好きなやつ。

これもまた閉鎖空間から外部を志向する物語だが、トータルデザインとパンチライン力の凄まじさによる高度な抽象化が素晴らしい。

「卵の殻を破らねば、雛鳥は産まれずに死んでいく。雛は我らだ、卵は世界だ。世界の殻を破らねば、我らは生まれずに死んでいく。世界の殻を破壊せよ、世界を革命するために」

というのは生徒会のエレベーターのシーンで毎回繰り返される台詞なのだが、だいたいこういう話。これだけでもパンチラインの強さもわかっていただけるかと思う(どうやら引用元はヘッセらしい)。

世界(社会)における規定の役割を破壊するというテーマは、天上ウテナが女子なのに王子様に憧れて学ランを着ていることに明らかだが、この作品はその何歩も先を行っている。たとえば、決闘によって所有されるアンシーを守るために自分も決闘に参加するというウテナの抱えた矛盾であるとか、あるいは我々視聴者のウテナに対する「王子様」というイメージさえも粉々に破壊する33話とか…………(トラウマ)

エピソードごとにキャラクターを掘り下げていくのだが、特に黒薔薇編に代表されるような「きっと何者にもなれない」人々に寄り添う視線が幾原らしい。

スタッフ的にも監督幾原邦彦にメイン脚本が榎戸洋司というコンビに、幾原が集めた当時の新進気鋭のアニメーターたちが絵コンテ演出で参加しており、彼らは現在でもバリバリ活躍している(一番の出世頭は細田守だろうが)。彼ら気鋭のアニメーターたちの競うような繰り広げる演出合戦も大きなポイント。ギャグ回なんかやりたい放題で、「ウテナ」と聞いて思い浮かべるのは、意外と「カウベル」だったり「カレー」だったりするくらい。

「卵は世界だ」というその世界とは、社会といったような外的なものであると同時に、自らの感情や過去といった内的なものをも指す。『アドゥレセンス黙示録』はどちらかと言えばそちら側の話だ。この映画は本当に素晴らしくて、デイミアン・チャゼルには、『ラ・ラ・ランド』のプラネタリウムのシーン程度でドヤ顔する前に、頼むから『アドゥレセンス黙示録』の薔薇園のダンスを観てくれと言いたい。

 

 

電脳コイル (2007)

 

この作品は今回挙げた中では最後に見たのが1番古くて、多分中3くらいのときにどこかのサイトの期間限定無料配信で再見した。最初に観たのは放送当時のはずだが、その時のことはあまりおぼえておらず、全部は観ていないかもしれない。

なのであまり覚えていないのだけどそれでも、このアニメのいくつかのイメージは強烈に残っているし、優れた映像作品というのは内容以前にそういうことだと思う。し、思えば、そういう断片的な記憶についての物語だったような。「すぐそこにある異界」の描写は本気で怖い。あとは、「見る」「見られる」と「見える」「観る」についての話というか、「見える」ことが必ずしも「観る」ことへ寄与しないというか…そんな話だったような… 「痛みの先に“ほんとう”がある」というコピーもよく憶えている。にしても、放映から10年経った今、自動運転だったり眼鏡型デバイスだったり、確実に『電脳コイル』の世界へ近づいていることを実感する。是非夏にでも再見したい。

 

 

おおかみこどもの雨と雪 (2012)

 

成長した主人公によるモノローグ × 台風の夜 × 揺れるカーテン = 優!!!勝!!!という感じの映画。マザコンなので何度観ても雨くんの最後のシーンからエンドロールへの流れでギャン泣きする。

今思ったんだけど、確か大学時代の花さんの本棚にヘッセの詩集が置いてあったはずで、これ割と真面目に実質ウテナ案件なのでは?監督橋本カツヨだし。

 

 

傷物語 (2016-17)

 

 羽川翼さんのことが頭から離れないため。そういう意味では、化物語から猫物語までを緩やかに含んだ上での選出ということで。

あとは尾石達也が好きで、物語と連動して秩序の定義と破壊を繰り返すアニメーションの気持ちよさ。そして夕陽のシーンの素晴らしさ、川の輝きがあまりにも美しく、同時に輝きに満ちたこの場所この瞬間以外は死と闇が薄くしかし確実に支配していると確信させる儚さ。

 

 

風立ちぬ (2013)

 

宮崎駿で何か選ぶとしたら、『魔女宅』か『ポニョ』かこれになると思うんだが、『グラン・トリノ』人生ベストマンとしては、宮崎駿にとっての『グラン・トリノ』ということでこれを。彼の作品としてはかなり珍しく、この映画の主人公は徹頭徹尾自分のためにしか動かない。その先には、夢という名のエゴイズムの崩壊が待っているのだが、彼らはいつか訪れる崩壊を知らなかったわけではなく、分かった上で今この瞬間を精一杯生きただけなのだ。平気な顔で世界を救ってしまう宮崎駿的な主人公像よりも、ずっと好きだし気高いと思う。もちろん作家自身の姿とも多分に重ね合わせられることは言うまでもなく、これを作った駿の覚悟をも思う。なんといっても、「生きて」ははじめの脚本では「来て」だったというのだから… これはすごい話だと思う。

結局もう一本つくることにしたみたいだけどね。イーストウッドは『グラン・トリノ』の後も平気で映画を撮り続けているが、『グラン・トリノ』の先へは行っていない。というか西部劇自体もう撮る気が無いんだろう。宮崎駿はどうだろうか。『風立ちぬ』の先へ、このベストを更新するようなものを観られることを期待している。

 

 

魔法少女まどか☆マギカ (2011)

 

新房仕事2つめじゃんという声が聞こえるようだが傷は尾石の作品ということで。

鹿目まどかは「選ばない」という選択を頑なに続ける。それこそが彼女の強さであり、無知である。まどかの認知する世界の外では、暁美ほむらが、美樹さやかが、その他あらゆる時間の魔法少女が、そして何より彼女の母が、まどかを守るために闘っている。特に暁美ほむらは、まどかの選ばなかった、つまり偶然にも実現しなかった、そしてアニメというメディアになぞらえて言うならば偶然にも描かれなかった、そんな世界の偶然性に一縷の希望を託して、永遠に世界のシステムと闘い続けている。彼女が守ろうとした希望とは、鹿目まどかが笑っていられる世界、つまり彼女が無自覚に享受する平穏な日常のことである。徹底して合理的な世界のシステムと、そこで闘う人々に守られていたこと、つまり外の世界を知ったまどかは、最後の最後に一度だけ「選ばない」以外の選択をする。彼らから受け取った希望を彼らに返す、そのために世界のシステムを更に外側へ書き換えるという選択を。彼女の「選ばない」という選択によって得た希望を信じ、その希望のために払われた対価への責任を果たすために。ワルプルギスの夜の日、避難所の階段でまどかが母から独り立ちする「選択」の瞬間は何度観てもぐしゃぐしゃに泣く。

選択への信頼と責任によって外の世界を拓くという、『ビューティフル・ドリーマー』と密接に関わった(というかアニメーションにとって普遍的な)物語なのだが、その証拠に『新編 叛逆の物語』はダークサイドに堕ちた『ビューティフル・ドリーマー』という感じで、これも最高の映画なのです。『叛逆』まで含めてのベストということで。

 

 

キルラキル (2013-14)

 

これは電脳コイルとは逆に、最初に観たのが一番近い。というか先月。なので若干勢い任せの選出ではある。しかしまあこれも世界の外側の視点についてのアニメで… 僕これが本当に好き。『響け!ユーフォニアム』とかもそれだし。

プロットの基本構図は、見上げる纏流子と見下ろす鬼龍院皐月に代表されるような二項対立なのだが、その形式を維持したまま外的要因によって二項対立の中身がどんどん変化していくのがスリリングで見事。そして、閉じた世界に外のマテリアルを持ち込むものこそ、針目縫と満艦飾マコであり、そういう世界の違いを、流子や皐月のアクションシーンに付けられた過剰な動きと明らかに対比された、ある種コミカルな浮いた動きとして表現しているのもまあ気持ちいい。また、服を着る、服に着られるという見立てで、世界への支配、被支配、調和を直感的にあらわす。はじめ破滅を志向していた、つまりその先に何の未来もないことを知っていながら復讐のために世界と闘っていた纏流子が、他の人のために世界の外へ飛び出す。その過程で自分が「傷物」だと知った彼女の葛藤、そしてまた纏流子と逆の意味で自らの不完全さを思い知った鬼龍院皐月のことを思うと……(涙)  僕はこの記事で何回「不完全な存在が選択への信頼と責任によって不完全な世界の外側を志向する」話をしたでしょうか… もう僕はこれが観れれば大体満足のようです。あとこのアニメ、キャスティングがいいのか芝居の付けかたがいいのかわからないけど、キャラクターそれぞれがフックのある声で印象に残るし気持ちいい。15話までのオープニングテーマ「シリウス」がさすがに名曲。

 

 

聲の形 (2016)

 

 

The Who の『My Generation』という、若きロックンロールがその全能感を失う前、ロックンロールが幸福だった時代を象徴する名曲をオープニングテーマに採用した本作は、少年時代の全能感を失い、ついには生きることさえ否定しようとした石田将也という主人公が他者と手を取り合って互いに「生きることを手伝」いあうまでを描く。われわれはどうしようもなく不完全な存在で、つまり「傷物」で、だからこそ生きていくためには他者とのコミニュケーションが必要という話。

僕が思うに本作の本当に感動的なところは、愚かなところや美しくないところまでひっくるめた一人の人間の性質の全てを温かく包み込もうとする作り手の視線である。石田将也の例を出せば、西宮硝子を傷つけた彼の思慮の浅さや想像力の欠如による短絡的な行動は、ほんの少し角度を変えれば他者を助け、何かを与えることも出来る、ということ。(みんなが嫌いな)川井の言葉を借りれば「自分のダメなところも愛して前へ進む」ということ。そのことを(石田将也の例に戻れば)、コミニュケーションとしての投げる、行動の結果としての落ちる、そして時には冷たく時には暖かい水の二面性という、山田尚子的、というかアニメ的なモチーフで作劇しているところが素晴らしい。Blu-rayに入ってる別劇伴の inner silence バージョンが気になるし評判もいいので、いつソフトを買おうかとタイミングを伺っているところ。今度の立川の上映は行けなさそうで… いや、すぐ買えよって話なんですけどね。エンディングもいい曲。

 

 

 

・まとめ

ということでした。無自覚に適当に選んだものの、こうして並べてみると自分がどんなアニメが好きなのか一目瞭然で面白かった。

僕はアニメに限らず映画小説漫画などのフィクションが好きなのだが、その理由が現実逃避であることはかなり強く自覚している。なので基本的に僕がその手のフィクションに求める面白さは、基本的には現実とは関係のない自立的なものだと思う。フィクションはフィクションとして現実と全く独立して面白いはずだと思っているので「映画で人生が変わる」みたいな、フィクションを現実の付属品やミニチュア模型として捉える言説は大嫌いである。

なのに、いざオールタイムベストを選んだらこのザマ(笑)。もちろん、①アニメーションというメディアそのものの特性(ビューティフル・ドリーマーの項に述べた)、②日本アニメのみを対象にしていること、③そもそも観ている本数があまりにも少ないこと、などの理由はあるが、それでもあまりに似たような構造の作品、つまり「不完全な存在が、その選択への信頼と責任によって、(その不完全さゆえに他者と手を取り合って)、不完全な世界の外部を志向する」物語ばかり選んでいる。もちろん、これらの作品の登場人物に自らを投影しきっているわけではないが、彼らの姿には深く感動するし、それは、僕自身があまりにも不完全な存在であるという僕の自己認識による部分がかなりあるのは間違いない。

何はともあれ、性癖に向き合うという意味ではかなり収穫があったので、有意義な企画だったなと思います。

 

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MYどうしていいか分からないアニメ3選

 突然ですが、今まで見てきた中で最高にどうしていいか分からないアニメベスト3を発表します!

そこには多分、何かがある。

 

【第1位】戦闘メカ ザブングル

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富野由悠季監督 *富野由悠季・鈴木良武原作 *日本サンライズ製作 *1982年 *50話

初っ端からあれですが、なんというか、もう一話見ていただければ一目瞭然だと思うんだけど、全然意味わかんないのよ。

脚本何してるの寝てるの?って感じで会話が全く噛み合ってないし、話がどう進んでるのか全然わからない。色々言ってるんだけど、そこには必要な情報が全然含まれてない。ごちゃごちゃ言い合って結局北に移動を始めたからさっきのは北に行くという話だったのか?というレベル。もはや不可解。(あるいは私には理解できないだけでとんでもなく高度な脚本なのか?

そこへきて、50話。(圧倒的50話!!)

今の所分かったのはとにかく主人公がイケメンじゃないっていうことと、この作品のメカはハンドル操作だってことくらいかな…。

 

謎すぎて、一周回ってなんだか惹きつけられるものがあって既に何度かトライしている。

でも何回トライしても途中で挫折する。半分もいかない。

私にとってははるかにそびえ立つエベレストみたいなものです。

この企画を考えた時、筆頭は絶対こいつだと思った。

 

何があるんだか、あるいは何もないんだか分からないが、それを知るところまでどうしてもたどり着かない。でも、いつか必ず。

登頂したら絶対お祝いするんだ。

 

OP 疾風ザブングル

戦闘メカザブングルOP 短い疾風ザブングル - YouTube

 

【第2位】サムライフラメンコ

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大森貴弘監督 *マングローブ製作 *2013年 *22話

 サムメンコはなんというか、超ジャンル的すぎてひどく衝撃を受けた。

作中で何度も、明らかなジャンルの切り替えがある。 次の話を見た時、あるいは次の瞬間にもジャンルが変わるかもしれないという緊張感。何が起きても全然不思議じゃない。

あんまりいうとネタバレになりますが、つまりジャンルが切り替わるということは、「基本的設定」やら「暗黙の了解」やら「お約束」が全て変わるということで。

支持率100%の首相との肉弾戦とか本当になんだったんだ。

結局、最後まで主人公と重力以外は信用できなかった。

奴ら、自分達で作った"当たり前"を次々に叩き壊してゆく。

 

クオリティはめちゃめちゃ高いとは言えないが、ジャンル間での設定等の違いをありありと実感させてくれて、そう言う面も含めて見ると結構好きな作品。

絵が綺麗だったり各所の絶妙なくだらなさは光るものあるかも。

作品世界に引き込まれるというより、ニヤニヤしながら見ている自分も含めて楽しいという、あんまりよく分かっていないが視聴者巻き込み型の良作と言えるのかもしれない。

 

OP 「Just One LifeSpyair

Samurai Flamenco Opening - YouTube

初期の戦闘シーン

Samurai Flamenco - Weapon Upgrade - YouTube

 

【第3位】話の話

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ユーリー・ノルシュテイン監督 *1979年 *29分

こいつは紛うことなき大傑作。

ユーリー・ノルシュテインという旧ソ連出身のおじさんが監督をしていて、いわゆるアートアニメーションというジャンル。このおじさんは切り絵を使って作品を作っているんだけど、どこがどう切り絵なのか、技法が洗練されすぎていてもうほとんど分からない。とにかく今まで見てきたアニメとは全く違うもので、ノルシュテイン作品にはめちゃめちゃ衝撃を受けた。

中でも本作は間違いなくアニメーション史上に残る大傑作と思う。

 

しかし、これに関しては何がいいのか、私にはまだ分からない。

この良さを言葉にできるだけの頭と経験と語彙が多分まだない。

よく映像詩とかいう言われ方をするが、あんまり詩に造形の深くない自分としてはそれはあまり理解の助けにならないし、多分理解するようなものじゃないんだろうな。

 

でも、どうしようもなく良い。

こういう事態はなかなか悔しいものがあって、悔しい。

これは一体どういうことなのか。

本当にどうしていいか分からない一作。

 

本編

Сказка Сказок (Tale Of Tales) - YouTube

 

 

この辺は私の人生の課題なので、おいおいちゃんと消化していきたい。

気になるからには何かあると思いたいが…。

見てくれる人がいたらぜひ感想を教えて欲しい。

【改定】MYベストアニメーション10(ゆう)

本ブログ共同執筆者のぽんぬふ氏との湖畔会議の結果、アニメベスト10を発表します。

 

一応アニメーションなら何でも良いことにしました。そして、誠に勝手ながら宮崎駿作品・ジブリ作品とアートアニメーションは抜いています。

(が、それではあまりに不誠実な気がして本音をおまけとしてぶちまけておきました。一目見て察していただけることを願っていますが、そっちをやるといつも書いてる初期ジブリノルシュテイン礼賛記事増補版にしかならないのです不義理を許してください。抜いた分のことは他記事でだんだん書きます。)

 

本来順番をつけて比べるものでもないと思いますが、選考と整理のため、仮に順位を付けています。

(一回公開したけど考え直して改定しました。)

 

【第1位】天元突破グレンラガン  

〜突き抜けたら俺の勝ち!気合いは世界を変える〜

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今石洋之監督 *GAINAX製作 *2007年 *全27話

 

とにかく突き抜けるというお話なんだけど、それを描いている制作側が突き抜けるってことを体現しているという…。

絵のチカラ、音楽、脚本、全てが凄まじい。全てにおいて気合いが違う。ので、とっても脳筋な事を言っているのだがすごく説得力がある。

凄まじい気合いを持ち続けるのは並大抵のことじゃないけど、そのチカラはすごいと初めて信じられるような作品。

めちゃめちゃ大雑把に言うと主人公シモンが根暗な穴掘り野郎から、色んな挫折や経験を経て宇宙を背負う男になるというお話なんだけど、彼と関わり育ててゆくかっこよすぎる周りの連中の生き様と、彼自身の成長がすごく立体的に立ち現れていてとんでもなくゾクゾクするシーンが沢山ある。

一世代の話だと主人公は、まだ未熟な成長する存在としてか、確立されたブレない存在として一貫して描かれることが多いと思うけど、グレンラガンの場合は前半後半で世代が変わっているのでシモンの両面が丁寧に描かれるっていう、そこも魅力です。カミナを追うシモン、カミナを乗り越えたシモン。

 

最初に言った突き抜けるというのについて考えてみるとつまり、拡張しようとする意思が世界自体をそれまでより一回り大きなものに改変していく、世界の前提にある自己の認識と能力のスケールを大きくしていく、そういうことが「螺旋エネルギー」というキーワードで語られるんだけど、これが、もう本当に「コレだ」って感じ。

昨日の自分の方がいいと思うなら、私は明日を生きたくない。これは私の人生の話だ。

そしてそういう想いは後の世代に受け継がれて行く。

 

カミナ「理屈じゃねんだよなぁ、てめぇを信じるからあいつを信じる、あいつを信じられるからてめぇを信じられる。おんなじなんだ、おれにとっちゃ それがつまり、相棒なんだよ」
カミナ「いいか、忘れんな。 おまえを信じろ。 おれが信じるおまえでもない。 おまえが信じる俺でもない。 おまえが信じる、おまえを信じろ!」

シモン「まだ見ぬ明日に怯えて今を後悔したくねぇ!」

言わずもがな素晴らしい名言の目白押しなのも外せない要素。

 

そして終盤はもう、どんどん泣いた。キタン、ジョーガン・バリンボー、マッケン、栄光のグレン団初期メンたち…。生き様の結晶点として自己犠牲が描かれると必ず泣いてしまう気がする。

自分の生き方を貫こうとするのって何でこんなにかっこいいんだ。

ジョーガン・バリンボーなんてあんなに突然だったじゃんよ…前触れもなく、自分たちの命を惜しげも無く差し出しtああああああああああああ!!!

 

失礼しました。

最高に不器用で最高にかっこいい人達の、最高に突き抜けたお話です。

そして音楽も非常にいい。

 

OP 「空色デイズ中川翔子

天元突破グレンラガン OP2 - YouTube

挿入歌 「"Libera me" from hell」岩崎琢

 「"Libera me"from hell」 - YouTube

 

【第2位】マクロス7  

〜信じるものは、歌の力〜

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河森正治監督 *MBS製作 *1994年 *49話

テイストは結構グレンラガン系だけど、こちらは歌のチカラの話。

音楽って何の役に立つんだっていうのは(例えば軍事利用だったり治療だったり治世だったり)歴史的にも繰り返されてきた問いだと思うけど、そういう効用じゃ機能じゃなく、この作品は音楽の生きることそのものへの働きかけを信じている。人はなぜ歌うのか。歌は人を生かし救うのか。

 

これだけ主人公が歌い続けるアニメもそうそうないと思う。多分時間の半分くらいは歌ってる。

とっても丁寧な話の進行も、長編アニメが可能だった時代の賜物ですね。各キャラクターの内面が、歌への関わり方を通してすごくリアルに立ち現れる。全員の「歌」観は異なっているし、話が進むにつれバサラというロックスターを中心にそれぞれの「歌」観の変化が同時進行的に描かれるのが見どころ。

その結晶点はギギルという敵キャラだと思っていて、私はほとんどギギルという敵キャラを見るために見ていると言っても過言ではない。(ギギルも完全に内面の変化と自己犠牲だ…。)

ある意味では歌は心の核のようなものとして描かれるので、歌わない奴が歌うシーン、そりゃ良いよね…!

 

とにかく歌が大事なので、同じロック歌手がこの作品のために何十曲も作って歌っていて、アニメの歌を担当していることは伏せた上でアニメの進行に合わせてどんどん新曲をリリース、情報公開後は作中のバンド名義で実際に何度もライブをやっているくらい、音楽に本気な姿勢が伝わってくる。

歌が最高って本当、最高。

 

OP 「SEVENTH MOON」Fire Bomber

マクロス7OP(Macross 7 OP) - YouTube

 

 【第3位】クレヨンしんちゃん 嵐を呼モーレツ!オトナ帝国の逆襲
〜懐かしさへの根源的問い〜
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原恵一監督 *臼井儀人原作 *シンエイ動画、ASATSU、テレビ朝日製作 *2001年 *89分

お話は、しんちゃんの住む春日部市近郊に「20世紀博」という懐かしの20世紀をフィーチャーしたテーマパークができ、野原ひろし・みさえ始め、街の大人たちがみな20世紀博の虜になってしまうところから始まる。

色々あって野原家は20世紀博のボス、ケンとチャコを倒して自分たちの明日を取り戻そうとする。

 

普段あんまり意識してないけど、懐かしさというのはなんと甘く強い感情だ、と思った。

昔の番組、ギャグ、ファッションetc…今更だけど、懐かしくって懐かしくってしょうがない。

そんな素晴らしい過去を永遠に閉じ込めようとする(一見してジョン・レノンオノ・ヨーコ的な笑)ケンとチャコと、明日を生きたい野原家が相対する。鍵は"匂い"。

東京オリンピック世代にはここで描かれている懐かしい物事(古き良き商店街、ジャイアント馬場2000GT等等…)は本当に堪らないんだろう。そういう人が、懐古を踏み越えてゆくという作品を作ることで、改めて自らの懐かしい過去を名残惜しみつつ踏み越えて作っている気がした。

 

ケンはいう。

ケン「昔、外がこの街と同じ姿だった頃、人々は夢や希望に溢れていた。21世紀はあんなに輝いていたのに。今の日本に溢れているのは、汚いカネと、燃えないゴミくらいだ。これが本当に、あの21世紀なのか。」

チャコ「外の人たちは心が空っぽだから、物で埋め合わせしているのよ。だからいらないものばかり作って、世界はどんどん醜くなってゆく。」

ケン「もう一度やり直さなければいけない。日本人がこの街の住人達のように、まだ心を持って生きていた、あの頃まで戻って。」

チャコ「未来が信じられた、あの頃まで。」

 

ケン「戻る気はないか」

ひろし「ない!俺は家族と一緒に未来を生きる!」

ケン「残念だよ、野原ひろし君。つまらん人生だったな」

ひろし「俺の人生はつまらなくなんかない!家族がいる幸せを、あんた達にも分けてあげたいくらいだぜ」

 

チャコ「どうして?ねぇどうして?現実の未来なんて、醜いだけなのに!」

しんのすけ「オラ、父ちゃんや母ちゃんやひまわりやシロともっと一緒にいたいから、喧嘩したり、頭にきたりしても一緒がいいから。あと、オラ大人になりたいから。大人になって、おねいさんみたいな綺麗なお姉さんといっぱいお付き合いしたいから!」

 

この作品では、 「懐かしい」というのがキーワードなのだが、改めて考えてみると懐かしいという感覚は自己の生存にあまり役達ちそうもない気がする。下手をするとケン達のように、過去への退行のモチベーションになってしまう。そういう矛盾した人間的な感情が、しかも、自分のように昭和を実際に体験していない世代にも作中の昭和的なものどもが懐かしいと感じるという、つまり集合的懐かしさとでもいうものがあって、ケンやチャコが目指すそういう(美化もされて)過去の虚像(ケン達はそれを実像にしようとするわけだが)は美しくスマートで、逆にしんちゃんの未来を生きたいという生命の欲求は個人的で泥臭くてダサくて生々しいという善悪の倒錯を引き起こす。

その対置を語る上では、「走る」ということが作中で大きな記号的意味を持っていて、有り体に言えば走ることは明日を求めること、より良き未来を開拓して行く姿勢そのもの。野原家はめちゃめちゃ走るし、逆にケン達は絶対に走らない。どころか、

ケン「最近走ってないな」

とまで言う。

ラストのシーンでケン達としんちゃんはそれぞれタワーみたいなのを登るんだけど、ケン達はゆったり家を出てエレベーターで、野原家は追っ手から逃げながらボロボロになって必死に階段を駆け登ってゆく姿が描かれる。

そして、再現された昭和の世界に生きる人々もテレビで走っている野原家を見ていて、それがラストで効いてくる。

(それをもちろん私たちは画面の外から見ている。)

 

蛇足と脱線を恐れず言えば、これは輝かしき万博からバブル期までの好景気時代への決別というか、計らずか否か、パラダイムシフトを提示している作品とも言える気がする。大雑把に言えば昭和から平成へ、とも言えるかも。

未来が輝いて見えた、というのも、(そりゃ今だから言えることだけど)当時はいわゆる先進国的な追いつけ追い越せ思想だったり科学技術万能説だったりを信じていられたから、単線的な人類発展の期待を信じていられて、そういった昭和のパラダイムの中から見る未来は輝いていたんだと思います。経済成長してたし。

そして、バブル崩壊後の失われた10年なり20年なりでパラダイム自体が変化してしまった中、それでもまだリアルな響きを残している過去のパラダイムへの憧憬が、一つの分かりやすい結晶点として(世紀末思想の影響もあって?)の"20世紀"という形でこの作品で取り上げられて、作品の中で乗り越えられるという。

懐かしいものがめちゃめちゃ出てくるから昭和的な感じがするけど、こういう作品が出てくるということ自体が何とも平成的な現象ですね。

つまり、過去の心地よさは今でもかなりリアルにあるんだけど、結局今は燃えないゴミと汚いカネばかりの多様化の時代なんだ、その中でかっこ悪くたってもがき苦しみつつやってこうよ、だって結局、今死にたくない自分がいるじゃない?っていうのが本作の結論だと思う。

大学紛争のリーダー達が結局逃げたり就職したように、時代との心中ってなかなかないようで、結局死にたくない、生命の欲求としてどうしても明日を生きてみたい。

(その上で、現代は集合的達成目標みたいなものがばらけて価値観が多様化した中で個人個人が自分なりの自己実現を模索してもがく時代だと思うので、いかに自分の置かれた状況の中で自己肯定できるあり方を見つけていくかが重要課題だと個人的には思っている。要はアイデンティティの模索ということだけど。

 

しんちゃんに戻れば、最終的には懐古が明日への欲求に道を譲ると言う筋によって、途中の昭和的なものに懐かしさを強く感じれば感じるほど、それが解決した時に明日を生きようというエネルギーは強くなるという仕掛けになっている。

そういう罠のような仕掛けでありながら、製作者は自ら罠にかかっているというか、真剣にケンでありかつ真剣にしんちゃんであるという…その相反する二つの思念を製作の過程で共存させつつ、この物語製作の中で答えを見つけていっているという感じがした。

ちょっと上に書いたような分析的なことを、距離を取って他人事として考えて作品を作ったという感じがしなくて、制作者にとってリアルな問題として、製作過程で悩みながら、製作者自身が自分で出したまだ答えのない問いに本気で答えたというような、ある種血肉の篭った熱を感じる気がする。

これはすごい作品だと思います。

 

予告編

「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」 予告編 - YouTube

劇中歌 「白い色は恋人の色」ベッツィ&クリス

Betsy & Chris White color is lover's 白い色は恋人の色 - YouTube

 

【第4位】サムライチャンプルー  

〜江戸でサムライが殺陣で旅するラップなブルース〜

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渡辺信一郎監督 *マングローブ製作 *2004年 *17話

 琉球人の野蛮人ムゲンと追われる身の剣術界のエリートのジンと、能天気だけど実は訳ありっぽい町娘フウが3人で旅をする。

一言でいうなら、クールなポップがパンクでロックだけどちょっとだけ和なブルース。

 

筋としてはつまり、旅の話なんですね。

ご存知旅とは今いる地点から違う何処かへ、何かを求めて移動すること。何か求めてというところがミソで、そこがただふらふらしてるのとは違う。

語り尽くされた類の話だけど、多くの場合何を求める旅なのかというのが問題で、例えばフウには「ひまわりの匂いのするお侍探し」という割と明確な目的があるのに対し、ムゲンとジンは何を探しているのか分からない、何を探しているのかを探しているような感じ。

多分二人の旅の原動力は自分以外を絶対に信じないところに根っこがあって、(他人を信じないとなれば自分より強いものがあってはいけない訳なので) ムゲンの言うように「自分より強い者は叩き斬らないと気がすまない」ということになる。そうするともちろんひとところに落ち着くことはできないし、旅先で必然的に起こる切った張ったの繰り返しの中で、彼らは自らが信じているはずの孤独な強さを問うている。が、自身ではそのことに自覚的ではなくて、居ても立っても居られなくて旅をして、我慢ならなくて斬っちまってるだけなんだけど。

 そんなムゲンとジンだが、フウの存在によって斬り合いの決着を留保しつつ旅をするという、そのとっても稀有な束の間の旅路で経験を共有して何かが変わってきて、旅の果てにそれぞれの答えが見つかり、旅は終わる。

何を求めていたのかが分かる瞬間というのは、まさに探していたものを手に入れた瞬間だったという綺麗な引き。

答えが見つかって何がどう変わるってことでもないんだけど、でも旅は必要で大きな意味がある。つまりアイデンティティの模索の問題として。本当に、旅ってなんでこんなに素敵なんだ。

 

しかし、この作品の大きな魅力は旅の話だという大きなベースの上に乱立している旅の話にはほとんど関係ない旅先での色々な出来事にもあると思う。何と言ってもすごいクオリティで、物凄くふざけてくる。

道程としてはまず江戸に登って、そこから九州に向かうのだが、元気で明るい町娘とめちゃめちゃ腕の立つ素性不明の男2人の旅ときて、しかもこいつら自分勝手なトラブルメーカー揃いとくれば、これは面白くなりそうじゃないですか!

旅の先々で全員行き倒れたり二人が張り合ったり娘が人質に取られたり、とにかく人の言うことを一切聞かないためトラブって何かに巻き込まれるのが大体の流れ。

裏江戸ポップアート回、極道の縄張り争い回、浮世絵人攫い回、大食い南蛮人回、御用船襲撃回、日米対抗野球回などなど、魅力的なお話が目白押し。

一応江戸時代という制約の中で、現代のストリートカルチャーを実にうまく、かつやりたい放題に取り入れている。

最初と最後の数話は本筋の旅の決着って感じになるが、20話以上はただふらふら旅しているというか、話の本筋にほとんど関係ない遊びの効いた内容でそれがめちゃくちゃ面白い。

また、そこが逆にリアルな江戸時代の旅という感じもする。江戸時代に「ヒマワリの匂いのするお侍」なんてキーワード1つで旅して、そうそう手がかりに行き当たるものでもないものね。

 

以下で少々セリフを引用して作品の紹介をば。

 

(冒頭)

役人「無宿人ムゲン、並びに無宿浪人ジン、以上2名、これより打ち首獄門の刑に処す」

代官「どうだ、後悔したか。土下座してでも許しを請う気になったか。」

ムゲン「てめえらに頭下げて生きるくらいならなあ、思いっきり背ぇ伸ばして死んでやるぜ!」

ジン「ふふふふふ。そいつはいい。賛成だ。」

 

冒頭の主人公2名が打ち首で処刑されるシーン。作品全体を貫く暗さと、すぐそこにある死と、二人の他人に媚びずに自分の力だけで生きてゆこうとする姿勢がよく出ていて大変良い。

各話の登場人物は大体それぞれ付きまとう影のような過去の一つや二つあって、それが深みのある風情を醸し出している。実際、江戸時代には不幸なんてそこらじゅうにあったろう。

筋に関係あるところはこういうテイストが多い。

 

そして、この作品はラップがたくさん出てくる。音楽も結構そういう感じだし、その辺の通行人が突然ラップで話しかけてきたりする。

試しに、大変気に入っている、いわゆる「義経ラップ」を書いてみる。ある山に入る前に茶屋で噂を聞いていると、通りがかった飛脚風の男3人が、フウ達の会話に突然ラップでカットインするのだ。

 

「そいつはきっと義経ッス」

「ア、出る出る出る出るきっと出る、アーこの山に出るのは、アー義経のぉーー、オ!キットこれぇ!(お化けの手つき)」

「かつてぇ一世を風靡したァ、身の丈7尺のォ大おとこぉサァ」

「ヨォ!」

「千人ギリギリ斬りを果たしてェ!」

「そいつがまた恐ろしく身が軽くゥ、あちらぁこちらを飛び回ァる」

「しかも、絶世の美男子ときたもんだァ!」

「マァ、あくまでもっ、噂っすけどォ、ネェ!!」

かなり意味わからんがすっっごく耳に残る。

 

そしてそして、この作品のネタを語る上では個人的にはどうしても欠かせないのが、この左近将監永光という男。

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こちら、江戸でとにかくありとあらゆる大口を叩いて愉快にいい加減に生きているヒモ男。

喋る時は大体、後ろで子分がめちゃくちゃかっこいいボイパ(ヒューマンビートボックスとか言うらしい。そのプロが声優に初挑戦で出演。)で援護しているので、以下ボイパを脳内補完をお願いして、いくつかセリフを引用して彼の人柄に触れていただこう。

 

「俺か?俺はビッグになる男。とにかくビッグ、それどころかビガー・ザン・ビゲスト!俺の名は…左近将監永光! 」

「エニウェイ、やるしかなぁ〜い!」

「いいか、これだけは覚えていてくれ。俺は人様ができないことをやる。それができない奴らは、俺のことをナウじゃないという。ああそうさ、俺はナウなんかじゃあない。パンピーの皆さんは後から気づくだろうね。永光って男が本物のビッグだったってことをな」

「なんでここ(ギロッポンの丘)に連れてきたかわかる?この辺りは未来の俺の庭。そんでもって、あれが未来の俺の家、江戸城。だからさ、今から俺の心の大奥にならない?俺のことを知りたかったらサァ、それみりゃいい。それサァ、今執筆中の自伝。ま、自分はビッグへの道と呼んでますがねぇ。そう、そこには俺の人生の、過去、現在、そして未来の予定までもが書いてある。マ、とにかく何をやるにも、二番や三番じゃダメなわけよ。誰よりもビッグになって、この永光の名を天下に轟かせたい。じゃこの国で一番ビッグな奴は誰だ?ガ・ワ・ト・ク。徳川の将軍しかないわけ。だから俺は、一人安芸の国から最終船に乗り、江戸を目指したァ。」

 

これがめちゃめちゃ残るんだ。

二回も見ればセリフを覚えてしまう。

私はサムチャンの旅の方の筋はあんまり覚えてなかったが永光のことは忘れもしなかった。

声優の語り回しも、自分に酔って根のない自信に溢れているが、自分の小ささには自覚的で、ある意味甘えや愛嬌として大口を叩いているどうしようもない男の感じで本当に素晴らしい。

そんな面白おかしい素敵な人達が旅先で待っている。

三人と一緒に旅、したくない?

 

まあ とにかく、

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絶対面白いです。

 

OP 「battlecry」Nujabes feat.Shing02

サムライチャンプル OP - HD - YouTube

ED 「四季ノ唄」MINMI

SAMURAI CHAMPLOO ED - YouTube

 

【第5位】攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX

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神山健治監督 *士郎正宗原作 *Production l.G製作 *2002年 *26話

私がごちゃごちゃ言うまでもないと思います。最高。

大きな問題を、ものすごいテンポで超法規的にバッサバッサと解決してゆくのは痛快そのもの。

かつ、現代社会に対するありとあらゆる洞察に基づいて練られた脚本、息もつかせぬテンポ感、キャラクターやメカデザインの精巧さ。すごく濃い。

見てないならまず見るべし。

 

攻殻機動隊は独立した指揮系統を持つ少数精鋭の超法規的な正義の集団なわけですが、こういった集団ってどうなんだろうていうのはちょっと考えるところ。これに対置されるのは巨大な官僚組織なわけですが、その善悪みたいな話って結構みんな好きな話かなと。例えばシンゴジラとかそういう話だったと思う。映画だけど踊る大捜査線とか。

何と言っても超法規的な集団ってかっこいいんですよね。

しかし、その反面、必要とされて成果を上げている限りにおいては正義なんだけど、組織が暴走したり任務に失敗したり必要がない社会情勢においては簡単に悪になるし、結局草薙素子が公費で自分に所有権のない超スペックの擬体を使っていることからも明らかなように巨大な官僚システムの前には最終的に無力なわけですよね。

結局超法規的な集団というのも法規的な官僚組織を有する国家システムの前提があってこそのものなわけで、超法規的少数精鋭の快進撃の格好良さに陶酔するとその前提無視してしまいがちな中、攻殻機動隊はその辺のことを踏まえて作っているのがとても良いバランス感覚だと感じる。

そういうところで非常にドライな視点なのが素晴らしい。

 

シリーズは色々あるけど、やっぱりテレビシリーズ第1作が好き。

というのも、なんだかんだ、まっすぐな笑い男のことが好きだな。

どうでもいいけど、これ見た弟はずーっとバトーさんに憧れていて、近頃とうとうバトーさんっぽい服を着てキックボクシングをするようになった。

 

OP 「inner universeOriga

攻殻機動隊 OP - YouTube

ED 「lithium flower」Scott Matthew

Lithium Flower - GitS SAC OST 1 - YouTube

 

【第6位】AKIRA  

〜電脳山城組に拍手を〜

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大友克洋原作・監督 *アキラ製作委員会製作 *1988年 *124分

AKIRAは漫画と映画とあってもちろん両方良いんだけど、内容的には原作の漫画が充実していて素晴らしい。

しかし、映画では電脳山白組という芸能集団が全面的に音楽を担当していて、映画版はそれが良い。

とってもプリミティブな楽器の音を素材にして、当時としては新しいシンセサイザーを駆使した結果、プリミティブな新しい響き、というとっても独特な音楽を作っている。

最初に音楽を作って映像を付けたとか言う話を読んだ気がする。音楽のオンオフと音楽の性質上の進行が作品の輪郭を作っているというくらい音楽が大きな役割を果たしていて、音楽の質感というか、音の存在感が圧倒的。

1ヶ月くらいクラウンという暴走族が出てくる時の音楽が鳴り止まなかった時もあった。

力のある音楽って本当に強い。

音楽が少し強すぎて滑っているようで、そのちょっとした違和感も含めてAKIRAのぐちゃぐちゃした世紀末的世界観や絵柄にどうしようもなく合っていると思う。

私のこの作品に対する評価を一言でいうなら、ひたすら電脳山城組グッジョブ!!ということだ。

 

「金田のテーマ」

Akira OST - Kaneda's Theme [Geinō Yamashirogumi] - YouTube

「クラウンとの闘い」

Akira Battle against Clown Theme.wmv - YouTube

 

【第7位】ピンポン  

〜圧巻の動きと驚異的凝縮!そして涙涙のコンさん!〜

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湯浅政明監督 *松本大洋原作*タツノコプロ製作 *2014年 *11話

 激アツ卓球アニメ。

全体にポップな絵柄で、アニメーションの動きがめちゃくちゃ良い。

そして、遊び心はちりばめられつつぎゅぎゅーっと詰まった驚きのワンクール作品。

ここまで描ききれるもんかと思う。

独特の間が特徴で、かつ静と動の使い分けが凄まじい。ポップな絵柄が、微妙な内面描写ですごく効いてくる。その辺が作品に深みを出してると思う。

 

片瀬高校卓球部の同級生、天然物の天才のペコと超秀才のスマイルが二度のインターハイを戦うというもの。天真爛漫なペコと根暗で真面目一直線なスマイルの対比が戦型や表情、モチーフの違いなんかで出ていて素晴らしい。登場人物がみな妙なあだ名で呼ばれるのも面白ポイント。何気にコーチをしてるじいちゃんとか駅前の卓球場のおばばとかが昔の日本卓球界のエース達で…みたいな世代間の関わりも作品に奥行きを与えている。何かを極めようとした時、それにどうか変わるのか。厳しさ、楽しさ、プライドのためetc。

そして、コン・ウェンガという中国人選手の話、死ぬほど泣いた…。彼は中国プロリーグから脱落して、出稼ぎに日本の高校に選手兼コーチとしてやってくる。エリート意識の塊、鬼のようで人情のかけらもなかったチャイナことコンさんが、落ちた名門の卓球部に入って浮いて、余裕だろうとバカにしていたインハイで負けて挫折を味わって、ちょっと日本語も勉強しだして、貧乏なお母さんがクリスマスに来日してチームメイトに手料理を振る舞ったりして、ぐんと人間らしくなって卓球的にも人間的にも大きくなる。

チャイナ「ドコカニ才能眠テルカモシレナイヨ」

もうこの一言ですよ。泣くよ。バカヤロウ。

 

私は、これを見てオリンピックの卓球を見るようになったんだ。

 

OP 「唯一人」爆弾ジョニー

Ping Pong Op - Tada Hitori (HD) - YouTube

ED 「僕らについて」メレンゲ

[Vietsub][Karaoke] Bokura ni Tsuite (Ping Pong The Animation Ending) - YouTube

 

【第8位】日常

〜最強ギャグアニメ!〜

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石原立也監督 *あらゐけいいち原作 *京都アニメーション製作 *2011年 *26話

京アニ製作のギャグアニメ。

日常は非日常の連続、というコンセプトで、ある高校生達と、謎の天才幼女博士とそのロボの非日常すぎる日常を描く。

別記事でも書いたんだけど、ギャグアニメを本気でやるということは一つの覚悟だと思う。

面白いことを考えるのが難しいという話じゃなくて、全てを笑ってしまおうという姿勢が、とっても覚悟のあることじゃないかと思う。

この作品では笑いは目標ではなくて前提というところがあって、笑いという前提の上で色んなことが描かれて話が進んでゆく。
色んな登場人物のネタをチラシ寿司のように彩り鮮やかに散りばめてくる。
あるいはとっても美味しいネタを少しづつ次々に食べてゆく感じ?
そうしてそれぞれの人間模様を楽しんでいると、時々とんでもない一発で純粋に笑いだけを取りにきたりする。

 

第1話で、日常は

「単純な馬鹿でありたい」

という。

しかし、単純な馬鹿であることってすごく難しい。

単純な馬鹿であることで得られるものより、単純な馬鹿でないことで得られるものの方が多そうに見えるから。単純な馬鹿でない方が賢そうに見えるから。

でも、なんとはなしに送っている日常の中に、面白さ大爆発の非日常は無数に隠れている。しかし、それに気付けるのは単純な馬鹿であることを選んだ者だけ、っていう。

作中のキャラクターはそれぞれにそれぞれらしく生きているだけなんだけど、彼らは面白い。

翻ってみれば、自分達の日常もそうかもしれない……。

 

けどまあそんなことは、いい!

とにかく面白くて死ぬほど可愛い愛おしい!!!

それ以上のことなんてある??

♪ナナナナナナナ〜!♪

 

二期目のエンディングは毎回違う合唱曲をキャストが歌っていて、全てが腑に落ちると言うか、ああ見てよかったと心底思うと思う。

食事の最後のあったかいお茶みたい。

日常は、毎回完璧な献立なのです。

 

OP 「ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C」ヒャダイン

[HD] 日常OP ヒャダインのカカカタ☆カタオモイ-C 歌詞字幕付 - YouTube

ED 「Zzz」佐咲紗花

[HD] 日常ED Zzz 歌詞字幕付 - YouTube

最終話ED 「旅立ちの日に

日常最終話ED「旅立ちの日に」 - YouTube

 

【第9位】東京ゴッドファーザーズ

~マイホーム~

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今敏監督 *マッドハウス製作 *2003年 *92分

元自転車屋のおじさんギンちゃん、元ドラッグクイーンのおばさんのおっさんハナちゃん、家出少女のミユキのホームレス三人組がクリスマスの夜に捨て子の赤ちゃんを拾って東京の街を駆け回る話。

ちょうどこの間今敏が亡くなる前のブログ記事を読んで感動したのもあってそもそも好きな今敏作品で何か入れようと思ったわけだけど、そもそもホームレスって関心あるのと、物事がうまく行く話の方が好きなのでこれにしてみた。(パーフェクトブルーとかパプリカの方が作品としては強いとはおもうのだけど。)

 

ホームレスってやっぱり何かしら引け目のある人が多いと思うんだけど、苛烈なだからこそ社会性だったり人間らしさや自分の矜持ってもんが問われる環境なんだと思う。

持たざる環境で何を犠牲にして何を手に入れるのか。

ホームレスは心の旅をしている人たち、というようなところがあって(もちろん単に帰る家や家族のない人もいるわけだが、帰る家自体はあるがホームレスをしているという人はかなり多いと聞く) 自分のなかで引っかかっている心の折り合いをどうつけて行くか、あるいはつけないかというのはホームレスの抱える課題なんだとおもう。その点東京ゴッドファーザーズはクリスマスの奇跡で旅が終わるのが「マジかよ」って感じで痛快。

とは言ってもホームレスしたことないしホームレス大学生してた先輩やらホームレス研究の論文やら本をすこしだけかじっただけなのでかなりナマ言ってる気がしますごめんなさい。

 

それはそうと、今敏の映像表現は健在、素晴らしい。

それぞれの登場人物の人物像を動かしかたのレベルで描写するって改めてすごい。

独特の妙な生々しさがありますよね。

この作品では、ヤクザの親分を襲撃した外国人の奥さんが包容力満点でなんとも優しい感じが溢れていてすっごく好き。テロリストの妻とはかくありや…!

今さん、もっとたくさん作って欲しかった。

 

予告編

東京ゴットファーザーズ 予告編 - YouTube

 

【第10位】ぼくらの
〜最高鬱アニメ!〜

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森田宏幸監督 *鬼頭莫宏原作 *イズミプロジェクト製作 *2007年 *24話

子供達が突然世界の運命を背負わされて、謎のメカに乗って戦う。
そして、パイロットは必ず死ぬ。
鬱アニメは色々あるけど、ひたすら残酷な運命の中で子供達の内面を静かに描いてゆく感じが好きでランクイン。

残酷だろうが理不尽だろうが、現実は現実なんだっていう。

その中で自分にとって大切なものを大切にするしかない。何を犠牲にしても。


オープニング「アンインストール」が神曲

 

OP 「アンインストール」石川智晶

ぼくらの OP - YouTube

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こう見てみると自分の好きなものはなかなか傾向が出ている。

自分なりに生きるために頑張るお話が好きで、キャラクターの内面の変化だとか生き様としての自己犠牲とかで泣いているあたり、やはりアイデンティティ問題への大きな関心があるようですね。自分は何者なのか。何を求め何を捨てるのか。普通に現代っ子だな。

あと、より良い未来を信じているような作品に惹かれるのも分かった。どうなるか分からないんだけど、明日は今日よりよくなる、そんなことを信じたいって傾向も表れてますね。

 

以上、MYベストアニメーション10でした!

みんな、絶対みてくれよな!

 

 

 参考までに、候補になったアニメ達。

銀河鉄道の夜

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦

爆裂天使

・新世紀エヴァンゲリヲンシリーズ

妄想代理人

電脳コイル

サクラ大戦

サマーウォーズ 

あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない

キングゲイナー

SHIROBAKO

のんのんびより

・freedom

東のエデン

機動警察パトレイバー

四畳半神話大系

キルラキル

まどマギ

シドニアの騎士

蟲師

涼宮ハルヒの憂鬱

東京マグニチュード8.0

ワイルドアームズ

無責任艦長タイラー

ブラスレイター

スクライド

・N•H•Kにようこそ

グリザイアの果実

ログホライズン

・ファンタジア

輪るピングドラム

 

【おまけ】宮崎・ジブリ・アートアニメ解禁ベスト15

1位 天空の城ラピュタ (宮崎駿監督)

2位 未来少年コナン (宮崎駿監督)

3位 霧の中のハリネズミ (ユーリー・ノルシュテイン監督)

4位 話の話 (ユーリー・ノルシュテイン監督)

5位 天元突破グレンラガン (今石洋之監督)

6位 耳をすませば (近藤喜文監督)

7位 ルパン三世 カリオストロの城 (宮崎駿監督)

8位 魔女の宅急便 (宮崎駿監督)

9位 ケルジェネツの戦い (ユーリー・ノルシュテイン監督)

10位 千と千尋の神隠し (宮崎駿監督)

11位 On Your Mark (宮崎駿監督)

12位 もののけ姫 (宮崎駿監督)

13位 マクロス7 (河森正治監督)

14位 ルパン三世 TV第2シリーズ 第155話 「さらば愛しきルパンよ」(鈴木清順監督、宮崎駿脚本・絵コンテ・演出)

15位  クレヨンしんちゃん 嵐を呼モーレツ!オトナ帝国の逆襲 (原恵一監督)