酒は燗、肴は刺身、酌は髱

我が身の色をお隠しでないよ、着の身着のまま、ええじゃないかえ

2017年新譜ベスト

つづいて新譜ベストです。これは12月に相当追い込んで聴いたので、偏ってる可能性があります。来年は1年通して新譜をチェックできるように心がけたいです。ちなみに全部Apple Musicにあるんで、気になったら聴いてみていただけるといいかなと。

 

1. Cupid & Bataille, Dirty Microphone / JAZZ DOMMUNISTERS

2. Drunk / Thundercat

3. Popcorn Ballads / サニーデイ・サービス

4. The OOZ / King Krule

5. Jasmine / 唾奇×Sweet William

6. Pyramid of Skulls / Carlos Casas

7. Blight Upon Martyred Sentience / Impetuous Ritual

8. Kira Kira / The Irresistible Force

9. EP2 / yaeji

10. MASSEDUCTION / St. Vincent

 

 

1. Cupid & Bataille, Dirty Microphone / JAZZ DOMMUNISTERS

菊地成孔大谷能生によるヒップホップグループ。「ヒップホップはマスタリングの音楽」と菊地自身がアルバムの中で言及しているが、確かに音の鋭さがすごいし、とにかくトラックが最高に素晴らしい。もちろん文脈としてヒップホップの系譜にある人たちではないので、ラップのテクニック的に新しいとかは全然無く、なんならポエトリーリーディング近かったり、普通に菊地成孔そのものの喋り方だったりするのだが、それも全然、むしろ良い。

 


2. Drunk / Thundercat

超ソリッドなR&B。一音たりとも無駄がない。24曲で55分のアルバム。これとか相対性理論とか聴くと、適当に4分半くらいにしたような、ぬるいポップスは聴けなくなる。

 


3. Popcorn Ballads / サニーデイ・サービス

とかいって3位はこれというね。22曲で85分。ホワイトアルバムみたいなアルバム、といったら褒めすぎとは思うけど、しかしそんな感じ。

 


4. The OOZ / King Krule

暗いインディパンクロックなんだけど、統一感がありながらもかなり多彩な曲が入っていて、この方向にこれだけバリエーション出せるのは相当すごいなと思う。ロックのアルバムでいいなと思うことが少なくなってきた中で、これはヒットだった。

 


5. Jasmine / 唾奇×Sweet William

今年は日本語ヒップホップが豊作だったらしいけれど、JAZZ DOMMUNISTERSは正統派ヒップホップとは違うとして、個人的なヒットはこれかな。PUNPEE、ゆるふわギャングとかも好きだけどね。これとJAZZ DOMMUNISTERSで、僕の好きなトラックの感じはわかっていただけるかと思う。

 


6. Pyramid of Skulls / Carlos Casas

アフリカの民俗音楽や環境音のフィールドレコーディング素材にグリッチドローンを重ねたアンビエント。単なる電子音のドローンも聴き飽きたし、民族楽器や特殊楽器をフィーチャーしたドローンも、ブライアン・イーノアンビエント3以来色々あるけど、こういうのは初めて聴いたというのもあり、興味深かった。

 


7. Blight Upon Martyred Sentience / Impetuous Ritual

いままでこういうデスメタルって聴いたことなかったけど、こないだたまたま聴いて、すごく美しいと思った。叫ぶ、ドラムを乱打する、ギターをかき鳴らす。それだけの純粋な音楽。

 


8. Kira Kira / The Irresistible Force

 アンビエントはよく聴くけど、Carlos

 Casas以外の電子的なアンビエントで一番良かったのはこれかな。ジャケットも素晴らしい。

 


9. EP2 / yaeji

これはやや先物買い的な。韓国の女性シンガー。静かなEP。

 


10. MASSEDUCTION / St. Vincent

4,5年前にこの人を知って、一枚アルバムを聴いたんだけど、その時はイマイチ響かなかったんだよね。今年のやつを聴いたのはそれ以来で、そしたらコテコテに尖ったポップになってて、好き。政権の!腐敗!政権の!腐敗!敗!政権の!腐敗!政権の!腐敗!敗!

 

 

最後まで悩んだのは、コーネリアス、Toro Y Moi、電気グルーヴ。次点ということで。

 

大晦日の更新は以上!みなさまよいお年を!

2017年、漫画ベスト10

次は漫画です。

 

①月曜日の友達
苺ましまろ
③銀河の死なない子供たちへ
④あらいぐマンといっしょ
⑤悪魔を憐れむ歌
⑥ルーヴルの猫
⑦ライアーバード
⑧サトコとナダ
⑨魔術師A
⑩血の轍

 

 

1. 月曜日の友達 / 阿部共実

個別の記事にも書いたので改めて述べないけど、これは別格だし、年間ベストどころか生涯ベストだし。それも"生涯ベスト級"ではなく、生涯ベスト1。なんなら漫画に限らずあらゆるコンテンツにおける生涯ベスト1。来年の2月に最終2巻が出ることが決まっており、つまり来年の漫画ベスト1も既に決定しているという問題がある。

 


2. 苺ましまろ / ばらスィー

これは出るだけで事件という類の漫画で、今年は4年半ぶりに8巻が出た年だった。そして8巻は『苺ましまろ』史上でも最高の出来だったと思う。この漫画がギャグ漫画としていかに高度で緻密なことをしているかということを、完全に分からされた。コマとコマの間の時間の長短のコントロール。今年こんなに声出して笑った漫画は無い。

 


3. 銀河の死なない子供たちへ / 施川ユウキ

人類滅亡SFジュブナイル不老不死ラップバトル子育て漫画。これも来年最終2巻が出る。最高。

 


4. あらいぐマンといっしょ / 横山旬

大好きな横山旬先生。『変身』も大傑作のわりにはあまり知られていないし、というかこの漫画本誌では夏に完結しているはずなのですが、下巻は……出るよね……??出るよね????お願いしますお願いします。全員買ってくれ。

 


5. 悪魔を憐れむ歌 / 梶本レイカ

昨年『コオリオニ』で知った梶本レイカ先生。風呂敷の広げ方がすごいんだが、とにかく迫力があって、まとめてくれるに違いないと思わせられる。

 


6. ルーヴルの猫 / 松本大洋

阿部共実先生がツイッターで「定規の線は浮く」って言ってたけど、まさにこういうことで、ひとつのページの吹き出しの輪郭の線まで調和させるのが松本大洋

 


7. ライアーバード / 脇田茜

これを今年のランキングに入れている時点で全くダメ。去年1,2巻同時発売だったんだけど、なぜか一巻しか読んでなかったんだよね。しかしこれはすごい漫画だと思う。やっと気づいた。もっと上の順位でもいい。ぱっと見写実的な画風だが実のところかなりデフォルメしていて、特に共感覚の描写が実に漫画的。絵が良い。

 


8. サトコとナダ

アメリカで日本人とサウジアラビア人の女子留学生2人がルームシェアする漫画。2人がかわいい。そしてムスリムやアメリカについて普通に勉強になる。素晴らしいまんがだ。

 


9. 魔術師A / 意思強ナツ子

こういうのに弱い。デヴィッド・リンチの映画みたいな。世界もゴミ、自分もゴミ、でも生きてるなんて…… 再読すれば順位上がりそう。

 


10. 血の轍 / 押見修造

周回遅れで『ぼくは麻理のなか』にハマったというのもあり、押見先生の新作を。画力、特に人の顔についての画力が凄まじく、その一点で捩じ伏せにきてる漫画。

 

 

次点は、『ことなかれ』『不滅のあなたへ』『黄色い悪夢』くらい。いろいろ読み逃してるので、来年はもう少しアンテナ広げなきゃなと思ってます。

 

2017年下半期&年間初見旧作映画ベスト

大晦日ですので自己満足のために各種年間ベストを連投したいと思います。ではまず旧作映画初見編。これは上半期もやったので、下半期で10本出して、最後に年間で特に素晴らしかったのを本数決めずに選びました。

 

1. 動くな、死ね、甦れ!

2. ゲームの規則

3. セリーヌとジュリーは舟でゆく

4. ミニー&モスコウィッツ
5. 麦秋

6. めし

7. ワイルド・アット・ハート

8. イヴの総て

9. 愛の昼下がり

10. 戦争のはらわた

 

 

1. 動くな、死ね、甦れ! / ヴィターリー・カネフスキー (1989)

theアートシアターという旧作リバイバル公開シリーズの第2弾(第1弾はエリセ)で、今年の春にやるって決まった時からずっと楽しみにしていた。結果やはりというか、素晴らしく、2回観に行った。1度目はとにかく圧倒されてしまったのだが、2度目は劇場でまあまあ笑いが起きており、たしかに笑えるシーンも多いことに気づいた。ガガとワレルカは可愛いすぎるし、画面は圧倒的だし、自らの虚構性に自覚的で、結局すごいということしかわからない。

 

 


2. ゲームの規則 / ジャン・ルノワール (1939)

これはNHKBSで放映されたのを観た。絢爛豪華というか狂瀾怒濤というか。映画が巨大な装置と化し、その中で人物が勝手に動き出して止まらなくなるという現象は、映画においてしばしば起こることかと思うけれども、これはその極地で、つまり映画というものを先鋭化したひとつの形なのではないか。

 


3. セリーヌとジュリーは舟でゆく / ジャック・リヴェット (1974)

DVDで。これもすごかった。すごいということしかわからない系の映画。なんかライトノベルみたいだなと思った記憶がある。全体よりも、部分の瞬間的な快楽を優先するようなところが。そしてそれで映画として成立している。のかはわからないが、しかし迷路へと迷い込んで行く感覚はすさまじく、それだけでも奇跡的だし、さっきも言った虚構性というところへあり得ない角度から超絶なパンチを繰り出している。DVD欲しいが、プレミアついてて買えない。

 


4. ミニー&モスコウィッツ / ジョン・カサヴェテス (1971)

BSプレミアムで。いままで観たカサヴェテスの中で、1番キュート。駐車場のダンスのシーンの美しさが忘れられない。

 


5. 麦秋 / 小津安二郎 (1951)

ずっと観たことあると思ってて、再見のつもりで観はじめたら初見だったという。ひどいね。あまりにも有名な、しかし衒いのない切り返しショットもだし、空へのぼる風船のショットの寂寞も忘れがたいものになっている。

 


6. めし / 成瀬巳喜男(1951)

成瀬ではじめて本当にすごいと思った。ショットというより、空気が全然違う。

 


7. ワイルド・アット・ハート / デヴィッド・リンチ (1990)

最高の恋愛映画。掃き溜めみたいな世界に美しいものがあるとしたら、見つめ合う2人の中にだけ。リンチのこういうロマンチストなところが大好き。ラストはゲラゲラ笑いながらボロボロ泣く。

 


8. イヴの総てジョセフ・L・マンキーウィッツ (1950)

午前10時の映画祭で。すげえ面白かったみたいな感想しか出てこない自分がやや悲しいが、まあとにかくよくできていて、底知れない怖さみたいなのもあって。しかしこれが『サンセット大通り』と同じ年で賞を争ったというのは確かにすごいことだ。

 


9. 愛の昼下がり / エリック・ロメール (1972)

春頃はロメール観に角川シネマ有楽町に通ってた。今思ったけど、この映画『めし』に似てるかも。僕こういうの好きなのか。

 


10. 戦争のはらわた / サム・ペキンパー (1977)

リマスター版が今年公開された。これは、とにかくバランスが良いと思った。重すぎず、軽すぎず、戦争がまだそばにあった時代の映画だなあというか、今こういう映画は出てこないだろうと思う。

 

 

上半期と合わせて、特に強かったのは、

 

サクリファイス

・捜索者

ドレミファ娘の血は騒ぐ

・動くな、死ね、甦れ!

ゲームの規則

セリーヌとジュリーは舟でゆく

 

これですね。来年はこれ級の映画に10本は出会うことを目標にしたいと思います。