酒は燗、肴は刺身、酌は髱

我が身の色をお隠しでないよ、着の身着のまま、ええじゃないかえ

ペルソナ5

ペルソナ5をクリアしました……

はぁ〜、やっぱり結構たのしかったなというか、じゃなきゃ92時間もプレイしないんだけど。何回もゲームオーバーしてるのでそれ入れれば100時間超えてるだろうし。

自分のお気に入りのゲームを人にプレイさせるのが好きな友人の家ではじめて、友人宅に通いながら35時間くらいプレイしたあたりでPS3ごと借りてきて、合計9ヶ月くらいかかってクリアした。

 

やっぱりこのゲームの素晴らしいところは、UIのデザインとかそういう細部で、とにかくプレイヤーのストレスが無いように設計されている。かなり複雑なシステムのゲームなのだけど、わかりやすく、操作しやすく、タイムラグも無いようになっている。

脚本も相当練ったんだろうなという感じはある。2016年にペルソナシリーズでこのテーマをやるぜ!みたいな気概はビンビン感じるし、実際その価値のある作品だったと思う。ただいかんせん陽性すぎてスレたおじさんにはカロリー高くてもたれるなという感もなくはない。個人的には10〜11月あたりの流れがすごく好き。

ゲームの難易度はノーマルにしたら、最初の方は気を抜くとすぐ死んじゃう感じだったけど、進むにつれて簡単になっていって終盤は戦闘で負けるビジョンがみえなかった。戦闘のシステムなどは良いと思った。これだけ長いRPGで最後まで戦闘が退屈にならなかったので大したものだと思う。

 

しかしなんといってもこのゲームはキャラゲーなのだ。どのキャラクターもそれぞれ魅力があって良い。日常パートではほとんどキャラクターとの会話を進めていくことになるので、そこに魅力があるのは本当に良い。というかこれ本質的にはギャルゲーなんだよね。女性キャラクターとは関係を深めていくと付き合えるようになるし。

そこが大問題で、普通のギャルゲーってあるキャラクターのルートに入ったらその1人の話が進んでいくということになると思うんだけど、ペルソナはすべてのキャラクターのルートを時間リソースを消費することで自分のペースで独立して進められるので、しかもキャラクターがストーリーの進行ごとに順々に1人ずつ出てくるので……

何が言いたいかというと、あ、この人かわいいな→付き合う→ストーリーを進めると別の女子登場→かわいいな→付き合う を繰り返して最終的に四股かけたら、終盤やや地獄だったんですよ…… なんか、最終的には、画面に映ってる女子が基本全員彼女みたいな状況になって、不必要にメンタルが削られていって。葛藤が無かったわけではないんだけど、ゲームだから!って割り切ってたらこんなことになってしまった。でも、やっぱりそのまま何事も無いはずもなく。

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こちらは修羅場の画像ですけど、もうこの辺になると逆に笑えてきて、これはペルソナじゃなくて『うる星やつら』なんだと思い込むことによってやり過ごしていた。『うる星やつら』なので、画像の後の言い訳の選択肢で、「でもチョコは欲しい」みたいなネタ択を選びボコボコにされた。

うる星やつら』だと思い込むというライフハックはかなり有効だったので、2周目やるなら主人公の名前を諸星あたるにすると思う。それかおとなしく彼女を1人だけにするか……(それがいい)

 

次は、いっしょに借りてきた『キャサリン』をやります。『スプラトゥーン2』は0次予選落ちなので……(switchが買えない)

個人的なハーモニー (アニメーションはおもしろい)

昨年、『レッドタートル ある島の物語』や『ソング・オブ・ザ・シー』といった素晴らしい長編新作アニメーションや、ユーリ・ノルシュテイン作品の修復版の劇場公開などを観て、アニメーションに興味を持った。

 

それでちょうど昨年末に出版されていたこの本を読んだ。

個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論 | 動く出版社 フィルムアート社

本の内容は、ノルシュテインの『話の話』がアニメーション史に燦然と輝く大傑作とされながら、あまりに謎めいているその内容が観客や研究者の理解や解釈を拒み続けているという事実を足がかりに、『話の話』を様々な文脈から読み解こうとする先行研究から視点を変え、『話の話』が謎めいているのは、ノルシュテインの「個人的な」作品だからであり、そのような作家にとっての「個人的な」世界を創出しうることこそが、アニメーションの持つ最も重要な特質なのではないかと仮説を立て、「個人的な」アニメーションがどのように生まれ、観客の認知や現実の世界とどのように響き合うのか(本書ではその共鳴を「個人的なハーモニー」と呼ぶ)を、様々な作家による具体的な作品の例を逐一出しながら紐解いていくというものである。詳しい内容はぜひ読んでいただきたい。

最近僕はこの本に出てくるアニメーションのタイトルをいちいちYouTubeでチェックしながら読み、かつ日本を代表するアニメーション作家である山村浩二氏のブログで紹介されているアニメーション作家をちょっとずつ観ていった結果、30〜40本くらいのアニメーションを観たことになったので、どビギナーではあるけれど面白かったやつを書いておきたい。

 

山村浩二氏のブログ

知られざるアニメーション

 

 

技 / ジョルジュ・シュヴィツゲベル

Jeu - Georges Schwizgebel - 2006 - YouTube

 

アニメーションに興味を持ったきっかけのひとつだったりする。ツイッターでたまたまタイトルをみかけて、調べて観てみたらすげえなと。

 シュヴィツゲベルはほかにも何作か観たけど、僕が思うにこの人の作品の魅力は、その偽物っぽさじゃないか。ドローイングアニメーションとしてはかなり無理な動かし方をするのだけど、その結果故意か故意じゃないかは知らないが、完全に滑らかな動きではなく、どこかぎこちない動きになっている。塗りもそうで、特に人物の塗りなどはコマごとにムラがある。山村浩史氏のブログによれば、

通常のセルアニメーションと違い、輪郭や黒いベタはセルの裏から塗って、色は表からペインティンしてく作風。

とのこと(それがどう影響するのかはよくわかりません)。そのブレみたいなものが、現実にみたいに見えるけど確実に現実と違うズレたどこかに作品を位置付けている気がする。不気味の谷っていう話があるけど、この人のアニメーションには、それに近い現実からのズレかたがあるように思う。作品集欲しいんだけど、出たのがもう10年以上前で近作が入ってないのがなあ。また出してほしい。

 

 

氷山を見た少年 / ポール・ドリエセン

Paul Driessen - The Boy Who Saw the Iceberg - YouTube

 

画面を二分割して、片方に現実を、片方に少年の妄想を描くというアイデアが面白いし、その妄想というか夢があらわれては消えてゆく儚さ。

 

 

タンゴ / ズビグニュー・リプチンスキー

Tango by Zbigniew Rybczyński (1980) - YouTube

 

これも最初の方に観て、アニメーションってこんなことしていいのかと思った。ミニマルミュージックみたいな構成なんだけど、アニメーションでやるとまた違う感覚がある。つまり、ある部屋という限定的な空間における、あらゆる時間が同時に存在しまた消えてゆくというような。あの男の子が大きくなった姿がこの男性なのではないか?のような想像力を働かせていくと、一つの部屋の中に無限の宇宙が開ける。

 

 

手 / イジー・トルンカ

Ruka | The Hand |Jiri Trnka | Research (1965). - YouTube

 

こんなに怖い作品は無いと思う。この作品がトルンカの遺作となったということまで知ると、どんな想いでこれを作ったのかなどと考えずにはいられない。

 

 

草上の昼食 / プリート・パルン

Eine murul (Breakfast on the Grass, 1987) - YouTube

 

マネの絵画をモチーフにした群像劇。群像劇といっても、4つのエピソードの関連性は謎めいていて、ストーリー上での繋がりというよりも、現実の4つの異なる切り取りかたというような印象がある。ちょっとつげ義春っぽい世界観に、またちょっと異物感のある音楽のセンスも良いし、そのぐちゃぐちゃが完全な一瞬へ収斂していく様は素晴らしい。ていねいに笑えるオチまでつけてくれる。

 

 

ストリート・オブ・クロコダイル / クエイ兄弟

1987 BRUNO SCHULZ'S STREET OF CROCODILES ULICA KROKODYLI by Quay Brothers - YouTube

 

人形アニメーションなんだけど、クエイ兄弟はもう単純にモンタージュとかカメラの動かしかたがめちゃくちゃ上手くてすごい。そして、基本的には映画的なテンポの中にふと挿入される機械的なカットとかカメラの動きとかがまた面白い。案の定長編映画も撮っているらしい。

そして!なんと!今なら!渋谷のイメージフォーラムで!クエイ兄弟特集をやってるんですねえ。僕も何回か行こうと思ってる。

 

 

 

ざっと列挙してみたけど、アニメーションを色々観ていく面白さというのはやはり、それぞれの作家がまっっったく違うことをしているという点にある。作品ごとに異なる独立した世界を覗き見、独立した秩序を体感する楽しさというか。他のどの分野にもこれだけ幅の広いジャンルはなかなか無いと思う。

【再放送】天元突破グレンラガン 第1話

始まりましたグレンラガン再放送!!!

これから追って行くよ!すでにかなり出遅れたが、この先もまず遅れる!

 

第1話「お前のドリルで天を突け!!」

第1話といえば、最初に最終戦闘っぽいシーンがまずでるのが、周回勢からするとたまらないところ。

初見の人はアレだが、ここで前に見た感動が思い起こされて心が揺さぶられる。ジーン。

後ろを知らないと出て来るのが誰だかわからないんだけど、しっかり雰囲気とキーアイテムの提示。

 

そして、一転変わって穴倉の穴掘りシモンの物語が始まる。

ああ、シモンはここから始まったんだった、ってジーンと来る。ジーン。

「毎日毎日、掘ることだけが俺の仕事だ」

そしてカミナ。まだ無茶苦茶言ってるゴロツキって感じだけど、カミナもここから始まったんだったって思い出した。ジーン。

 

一話にして、穴倉の閉じた社会の善悪や秩序、当たり前が打ち破られるのが本当に素晴らしい。

穴倉だけが世界だと思っている集団の中で、より大きな視点を持っているカミナは穴倉ではゴロツキの厄介者になってしまう。

ならばより大きな世界に出るしかない。

「無理を通して道理を蹴っ飛ばすんだよ!それが俺たち、グレン団のやり方だろうが!」

最初に地上に出た時の上空からの風景、太陽と月が左右にあるあの絵、初めて使われる明度の高さと圧倒的開放感と空中の浮遊感、本当にたまりませんな!

閉塞感からのブレイクスルーが最高の快感!!

「いいかシモン、自分を信じるな。俺を信じろ!お前を信じる俺を信じろ!」

自分より視野の狭い人間が何を言っているかじゃない、自分と自分の信じる人が何を言っているか。

 

鳥肌が止まらねえ。ジーン。

ビシビシ来た。

 

そして、ネットで見てた今までは予告編はみられなかったので、それもちょっと楽しみ。

「お前がやるなら俺もやる。俺がやらんでお前がやるか?お前がやらなきゃ俺がやる。俺がやるからお前もやれよ!」

予告も素晴らしい。

 

つづく。